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原因分析報告書 事例番号270001~270100
事例番号:270100
〇 オキシトシンの開始量および増加時間と増加量は基準から逸脱している。

事例番号:270099
〇 オキシトシンの開始時投与量、時間毎の増加量は、14 時 14 分の 120mL/時間までは一般的であるが、15 時 14 分以降の増加量は一般的ではない。

事例番号:270098
〇 分娩直前のテルブタリン硫酸塩の使用は一般的ではない。

事例番号:270097
□ 学会・職能団体に対して
ALTE(乳幼児突発性危急事態)の実態調査、病態解明、防止策を策定することが望まれる。
また、医療従事者に対して新生児期の無呼吸、ALTE 等に対する注意喚起や知識の普及、周知を行うことが望まれる。
母児同室を行う際の適応基準や実施方法に関して検討し、指針を作成することが望まれる。

事例番号:270096
〇 妊娠 33 週 6 日、前期破水、母体発熱出現、胎児心拍数陣痛図で頻脈(170 拍/分)を呈する波形レベル 3 の状態で陣痛誘発を行ったことについては、選択肢としてありうるとする意見と、一般的ではないとする意見がある。

事例番号:270095
□ 学会・職能団体に対して
陣痛発来前の脳性麻痺発症機序解明に関する研究の促進および研究体制の確立が望まれる。

事例番号:270094
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
常位胎盤早期剥離について、児が救命困難であったり、救命されても脳性麻痺になる危険性があるという現状を広く国民に知らせ、その可能性が疑われた場合には早急に受診するよう、啓発することが望まれる。

事例番号:270093
〇 妊娠 37 週 4 日入院時に妊産婦が腹痛を訴え、胎児心拍数陣痛図上、胎児心拍数異常が認められた際の対応として、胎児機能不全、常位胎盤早期剥離と判断し、自院での緊急帝王切開施行を決定したことは医学的妥当性がある。ただし、常位胎盤早期剥離と診断後、血液検査を行わず緊急帝王切開としたことは一般的ではないという意見も少数だが存在する。

事例番号:270092
〇 メトロイリンテルの有害事象について説明をした記録がないことは一般的ではない。
〇 メトロイリンテル使用中の分娩監視が約 5 時間にわたって間欠的聴取であったことは基準から逸脱している。
〇 陣痛促進剤の使用について説明と文書による同意が取られているが、同意書に起こり得る有害事象の具体的な記載がないことは一般的ではない。
〇 妊娠 39 週 3 日 10 時 24 分頃より変動一過性徐脈(軽度~高度)が反復している状態で経過観察したことは一般的ではない。

事例番号:270091
〇 胎児不整脈がある場合に経腟分娩を行うことは可能であるという意見と、選択的帝王切開が望ましいとする意見の賛否両論がある。
〇 NICU 入院後の対応については、一般的であるという意見と、ペースメーカー挿入を検討することが一般的という意見の賛否両論がある。

事例番号:270090
〇 ノンストレステストをリアクティブ(-)と判断し、超音波断層法で足伸展を確認した後、一時帰宅させたことは、医学的妥当性がない。

事例番号:270089
〇 家族からみた経過の通り、胎動の動きが弱いことを伝えたにも関わらず経過観察を指示したのであれば、選択されることの少ない対応である。

事例番号:270088
〇 妊娠 37 週以降の正期産の時期に子宮収縮抑制剤を処方したことは適応外処方であり、医学的妥当性がない。
〇 妊娠 37 週 0 日、FGR のため安静を指示したが、原因検索等を行わなかったことは選択されることの少ない対応である。

事例番号:270087
□ 学会・職能団体に対して
発症機序や発症時期が不詳の脳性麻痺事例の集積と発症機序解明に関する研究の促進および研究体制を整えることが望まれる。

事例番号:270086
□ 学会・職能団体に対して
絨毛膜羊膜炎および胎児の感染症や高サイトカイン血症は脳性麻痺発症に関係すると考えられているが、そのメカニズムは実証されておらず、また絨毛膜羊膜炎の診断法、治療法はいまだ確立されていない。これらに関する研究を推進することが望まれる。
胎児心拍数陣痛図や臍帯動脈血ガス分析値に異常を認めず、さらに出生後の経過にも異常を認めない早産児において、どの程度脳室周囲白質軟化症がみられるのか、また、その発症機序に関する調査・研究を行うことが望まれる。

事例番号:270085
〇 搬送元分娩機関で、妊娠 26 週の妊婦健診において、左児の胎動「やや少ない」との訴えに対し、超音波断層法検査は施行したものの羊水過多・過少など所見の記載がなかったこと、胎児心拍数モニタリングをしなかったことは選択されることの少ない対応である。
〇 胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:270084
〇 医師は子宮収縮抑制薬の影響を考え経過観察しているが、胎児頻脈の原因検索として超音波断層法、血液検査をするという意見もあり、この判断には賛否両論がある。
〇 12 時に医師が診察を行い、内診所見は不変だが今後のことを考え高次医療機関への母体搬送を決定し搬送依頼を開始したことは、2 時 12 分に切迫早産との診断で入院とし子宮収縮抑制薬の投与などの治療を行い経過観察しており、やむを得ないという意見と、入院の時点で前日から痛みが頻繁である訴えがあり、腹部緊満 5-10 分間隔で、子宮口開大 2-3cm で胎胞形成がある状態であり、既に高次医療機関への母体搬送の考慮が必要であるという意見がある。

事例番号:270083
□ 学会・職能団体に対して
国・地方自治体に対して、妊娠中の B 群溶血性連鎖球菌スクリーニング検査は、ガイドラインで推奨する時期に公的補助下に一律に検査が実施できる制度の構築を働きかけることが望まれる。
※ 「産婦人科診療ガイドライン-産科編 2014」では、腟分泌物培養検査(GBS スクリ-ニング)を妊娠 33 週から 37 週に実施することを推奨しているが、検査費用の公的補助制度によって同時期の実施が難しい地域の医療機関がある。

事例番号:270082
〇 有効陣痛がある場合の胎児心音聴取の間隔は基準から逸脱している。
〇 12 時 20 分の子宮口全開大から 13 時 25 分の排臨まで約 1 時間、排臨してから 15 時 40-50 分の発露まで 2 時間以上経過し、発露の状態になってからもなお分娩が進行しない状況で、嘱託医療機関への搬送を考慮しなかったことは基準から逸脱している。
〇 生後 1 分のアプガースコアの評価、出生時啼泣が聞かれない新生児仮死の状態での蘇生処置、搬送までの児の詳細および搬送理由等を記載しなかったことは一般的ではない。
〇 救急車で搬送が必要な状態の児を、助産師が同乗している状況で父による抱っこで搬送したことは医学的妥当性がない。

事例番号:270081
〇 重症妊娠高血圧腎症の妊産婦に対して緊急帝王切開が速やかに行えるよう準備を整えずに分娩誘発を開始したことは一般的ではない。
〇 子宮収縮が頻回となり遅発一過性徐脈を繰り返し認める状態においてオキシトシン投与を継続したことは一般的ではない。

事例番号:270080
〇 妊娠 41 週 4 日 21:50 から 22 時 50 分までの分娩監視装置装着による胎児健常性の確認について、胎児心拍数陣痛図がなく判読が正しいか特定できないが、診療録の記載から考察する。助産師は『胎児心拍数低下変動あり』、『胎動のみで睡眠傾向』と診療録に記載しているものの、医師に報告していない。その後、22 時 50 分には『胎児心拍数低下変動消失したので分娩監視装置終了、時間をおいて再検査する』と診療録に記載しているが、分娩監視装置再装着による再検査はされておらず、また医師に方針を確認していない。これらのことは一般的ではない。
〇 妊娠 41 週 5 日 9 時 6 分からの胎児心拍陣痛図は基線細変動の減少、遅発一過性徐脈がみられ胎児機能不全と診断される波形であり、胎児健常性が確認できない状態で分娩監視装置装着を終了しその後連続監視しなかったことは基準から逸脱している。
〇 11 時 35 分の徐脈に対し、助産師が医師へ報告しなかったことは、一般的ではない。
〇 妊娠 41 週 5 日 15 時 30 分以降『基線細変動あり、時々軽度変動一過性徐脈から早発一過性徐脈あり』との医師の判読、17 時 10 分『胎児の健常性はよい』、19 時 10 分『胎児の健常性はよい』、22 時 25 分『胎児健常性はよい』との医師の判断は医学的妥当性がない。
〇 妊娠 41 週 5 日 9 時バルーン挿入時の内診所見は子宮口開大 2cm で子宮頸管熟化不良であり分娩が短時間で終了すると期待できるものではなく、9 時 25 分にジノプロストによる陣痛誘発を開始したことは選択されることは少ない。
〇 妊娠 41 週 5 日 12 時 45 分からオキシトシン投与を開始したことは医学的妥当性がない。
〇 ジノプロストの開始時投与量、1 回投与増加量は基準から逸脱している。
〇 オキシトシン開始時投与量、1 回投与増加量、安全限界量は基準から逸脱している。
〇 ジノプロスト・オキシトシン投与中に分娩監視装置装着による連続モニターをしていないことは、基準から逸脱している。

事例番号:270079
〇 母体 GBS 陽性で分娩時に抗生剤投与できなかった症例で、出生後に培養検査や厳重な管理をしなかったことは一般的ではない。
〇 早産・SFD 児、母体 GBS 陽性で抗生剤投与できなかった症例に、生後 5 時間頃より無呼吸発作、経皮的動脈血酸素飽和度低下がみられ、血糖 40mg/dLとなっており、生後 8 時間頃と生後 12 時間頃に再度経皮的動脈血酸素飽和度低下、全身チアノーゼが見られたことに対し、刺激が回復したとは言え、生後 26時間まで搬送を考慮しなかったことは、一般的ではない。

事例番号:270078
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、および予防法や診断法に関する研究を推進すること望まれる。
また常位胎盤早期剥離について、児が救命困難であったり、救命されても脳性麻痺になる危険性があるという現状を広く国民に知らせ、その可能性が疑われた場合には早急に受診するよう、さらに啓発することが望まれる。

事例番号:270077
□ 学会・職能団体に対して
早産に関して早期診断・予防・治療に関する研究を推進することが望まれる。

事例番号:270075
〇 入院時の対応として、陣痛発来し子宮口全開大で入院した経産婦に対し、無痛分娩の準備の前に胎児心拍数を確認しなかったのであれば一般的ではない。
〇 妊産婦の血圧測定が実施されなかったことは一般的ではない。
〇 オキシトシン点滴による陣痛促進に関して、初期投与量(10mL/時間で点滴開始)は基準内であるが、その後の増量(開始2分後にオキシトシン点滴を 20mL/時間に増量、さらに 5 分後に 60mL/時間に増量)は基準から逸脱している。

事例番号:270074
〇 帝王切開既往妊婦の経腟分娩(TOLAC)の際に、陣痛発来している状況で胎児心拍数陣痛図による胎児モニタリングを継続して実施しなかったことは、基準から逸脱している。

事例番号:270073
〇 破水および母体発熱に対し、血液検査、抗菌薬投与等を行わず経過観察したことは一般的ではない。
オキシトシンの投与方法について、その増量法(20 分前後で増量)と最大投与量(132mL/h)は基準から逸脱している。

事例番号:270072
〇 帝王切開決定から児娩出までの対応(約 1 時間 30 分で児娩出)にはやむを得ないという意見と、一般的ではないという意見の両論がある。
〇 NICU 入室後、細菌感染の関与を考慮した状況で細菌培養検査を実施せず、抗生物質を投与したことは一般的ではない。

事例番号:270071
〇 妊娠 40 週 6 日の自然破水後や羊水混濁を認めた後に一定時間(20 分以上)の分娩監視装置を装着しなかったこと、分娩第Ⅰ期に次の分娩監視装置使用までの一定時間(6 時間)以内に装着していなかったことは一般的ではない。
〇 妊娠 41 週 1 日 11 時 22 分頃より認められた胎児心拍数陣痛図の異常波形(高度)(レベル 5)において経過観察をしたことは一般的ではない。 蘇生時の薬剤の投与(フェノバールビタール投与)は基準から逸脱している。

事例番号:270070
□ 学会・職能団体に対して
本事例のように、妊娠中の健診と健診の間に起こった出来事が脳障害に関連したと推測される事例を蓄積して、今後、どのような対策を行うかについて検討することが望まれる。
また、このような事例を産婦人科医が共有することが重要である。
胎動減少などの胎動異常と胎児心拍異常の早期発見のために、ローリスクの妊産婦に対する分娩監視装置装着の開始時期、施行間隔について学会レベルで事例を集積し、検討することが望まれる。

事例番号:270069
□ 学会・職能団体に対して
陣痛発来前の胎児脳性麻痺発症機序の解明に関する研究の促進および研究体制確立が望まれる。


事例番号:270068
〇 子宮収縮薬の投与量は一般的であるが、正確な点滴追加時刻の記載がないことは一般的ではない。
〇 子宮収縮薬使用中にほぼ連続的に胎児心拍数モニタリングを実施したことは一般的であるが、胎児心拍数陣痛図の判読所見の記載が少ないことは一般的ではない。
〇 15 時 50 分頃から胎児心拍数異常を認めた状況で子宮収縮薬の投与を継続し、人工破膜後に胎児心拍数の低下を認めた時点で、子宮底圧迫法を 3 回行い児娩出としたことは選択肢のひとつであるという意見と、一般的ではないという意見の両論がある。
〇 出生直後より啼泣を認めず蘇生施行と記載されているが、蘇生の詳細が記載されていないため評価できない。新生児蘇生の詳細が記載されていないことは一般的ではない。
〇 家族からみた経過によると、出生後に医師が児を逆さまにして背中を叩いていたとされており、その通りであるとすれば、この対応は医学的妥当性がない。
〇 生後 47 分の静脈血液ガス分析値(pH 6.941、PCO2 97.1mmHg、PO2 24.2mmHg、HCO319.8mmol/L、BE -18.9mmol/L)と混合性アシドーシスを認めている状況で、生
後 1 時間 33 分に NICU 医師が気管挿管し人工呼吸を開始するまで呼吸管理を行わずに酸素投与のみで経過をみたことは医学的妥当性がない。

事例番号:270067
□ 学会・職能団体に対して
胎児期の脳性麻痺発症機序解明に関する研究の促進および研究体制の確立が望まれる。
国・地方自治体に対して、ガイドラインで推奨する時期に公的補助下に一律に腟分泌物培養検査が実施できる制度の構築を働きかけることが望まれる。
※「産婦人科診療ガイドライン-産科編 2014」では、腟分泌物培養検査(GBS スクリ-ニング)を妊娠 33 週から 37 週に実施することを推奨しているが、検査費用の公的補助制度によって同時期の実施が難しい地域の医療機関がある。

事例番号:270066
〇 11 時 12 分から高度遅発一過性徐脈、11 時 33 分に胎児心拍数 70-80 拍/分の高度遷延一過性徐脈を認め、急速遂娩の方針としたことは一般的である。
〇 児頭の位置 Sp-2cm の状態で吸引分娩を行ったことは基準から逸脱している。

事例番号:270065
〇 妊娠 38 週から妊娠高血圧腎症であり、入院管理せずに外来通院としたことは選択されることは少ない。
〇 妊娠 40 週 1 日の入院時における胎児心拍数陣痛図所見は、基線細変動減少、一過性頻脈なし、軽度遅発一過性徐脈および胎児心拍数基線 170 拍/分の頻脈であり、この状態で分娩監視装置による連続監視を行わなかったこと、体位変換や酸素投与などの保存的処置、急速遂娩の準備を行わなかったことには、賛否両論がある。

事例番号:270064
〇 ノンストレステストの実施は一般的であるが、その評価を診療録に記載していないことは一般的ではない。
〇 子宮収縮薬の投与方法(オキシトシンを 5 滴/分(15ml/分)で開始)と投与中の管理(分娩監視装置装着開始 1 分後にジノプロストン錠の内服投与を開始、35 分後にモニタリングを中止し 2 錠目から 5 錠目までのジノプロストン錠を投与。引き続いて、分娩監視装置を装着せずにオキシトシン投与を開始)は基準から逸脱している。
〇 子宮収縮薬の説明・同意の取得方法(ジノプロストン錠およびオキシトシンの使用について口頭での説明のみ、説明についての診療録記載なし)は基準から逸脱している。

事例番号:270063
〇 家族からみた経過のとおり「分娩が進まないのは体質かもしれない」と助産師が陣痛促進を勧めたとすれば医学的妥当性がない。また、胎児心拍数陣痛図からは、陣痛促進前の陣痛周期は 3-5 分であり、この段階での微弱陣痛の診断、および促進開始前に遅発一過性徐脈が出現していることの原因検索をせずに陣痛促進を開始したことは一般的ではない。
〇 14 時 10 分以後、10 分余り続く高度遷延一過性徐脈が出現した状況で、陣痛促進中止および酸素投与開始で経過観察したこと、リアシュアリングと判断できる十分な根拠に乏しく頻回な陣痛がある状況で分娩監視装置装着を継続しなかったこと、その後の徐脈等、異常波形をリアクティブと判読したことは一般的ではない。
〇 生後 10 分に陥没呼吸著明で、生後 15 分に、筋緊張が非常に乏しく全身蒼白である状況で、自発呼吸があるとしてフリーフロー酸素投与としたことは一般的ではない。
〇 次第に経皮的動脈血酸素飽和度が低下している状況で、フリーフロー酸素投与のまま、生後 1 時間以上経過観察したことは一般的ではない。

事例番号:270062
□ 学会・職能団体に対して
本事例のように、主に一絨毛膜二羊膜双胎新生児で妊娠期に硫酸マグネシウムが(または硫酸マグネシウムが塩酸リトドリンとの併用)投与されていた場合の新生児に高カリウム血症を発症した事例の報告が散見されるため、病態の解明や新生児の評価方法について研究することが望まれる。研究の結果、病態が明らかとなったときは、その結果を「産婦人科診療ガイドライン-産科編」等に反映させることが望まれる。

事例番号:270061
□ 学会・職能団体に対して
本事例のように、主に一絨毛膜二羊膜双胎新生児で妊娠期に硫酸マグネシウムが(または硫酸マグネシウムと塩酸リトドリンとが併用)投与されていた場合の新生児に高カリウム血症を発症した事例の報告が散見されるため、病態の解明や新生児の評価方法について研究することが望まれる。研究の結果、病態が明らかとなったときは、その結果を「産婦人科診療ガイドライン-産科編」等に反映させるとが望まれる。

事例番号:270060
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発症機序の解明、および予防法や診断法に関する研究を推進することが望まれる。

事例番号:270059
〇 入院時の胎児心拍数陣痛図(17:04~17:42)の判読および対処については、胎児心拍数波形はレベル 2(亜正常波形)を認めている状況であり、医師に報告なしに連続胎児心拍数モニタリングを中止して経過観察としたことは一般的でない。
〇 20:35~21:14 および 23:30~0:51 の胎児心拍数陣痛図の判読および対処については、いずれも胎児心拍数波形はレベル 2(亜正常波形)を認めている状況であり、医師に報告なしに連続胎児心拍数モニタリングをせず経過観察したことは一般的ではない。
〇 分娩室入室後、1:10~1:43(児娩出時刻)の胎児心拍数陣痛図の判読および対処については、胎児心拍数波形はレベル 3(異常波形・軽度)-レベル 4(異常波形・中等度)を認めている状況であり、排臨まで医師へ立ち合い要請および急速遂娩の準備をせずに経過観察したことは一般的ではない。

事例番号:270058
□ 学会・職能団体に対して
小奇形を合併する児における、脳性麻痺発症機序の解明・研究が望まれる。

事例番号:270057
〇 原因検索を行わずにリトドリン投与量を増量して経過観察したことは一般的ではない。
〇 12 時 41 分に、胎児心拍数陣痛図上、胎児心拍数の異常パターンを認める波形をリアシュアリングと判断したことは基準から逸脱している。
〇 入院後 11 時 35 分に分娩監視装置を装着した時点で、胎児心拍数波形レベル 3−4 を認め急速遂娩の準備が必要とされる状況で、13 時 40 分に母体搬送が決定されるまで経過観察したことは一般的ではない。

事例番号:270056
〇 胎児の推定体重が大きい(妊娠 20 週 1099g、30 週 1800g、34 週 2549g)状況で、GDM スクリーニングを行っていないことは一般的ではない。
〇 破水の対応として抗菌剤を経口投与したことは一般的である。しかし、GBSスクリーニング未検査として対応する場合、点滴投与をしなかったことは一般的ではない。
〇 妊娠 39 週 3 日、子宮口全開大後、児の娩出 5 時間 36 分前から、高度遷延一過性徐脈が認められている状況で、急速遂娩としなかったことは、一般的ではない。
〇 指針のレベル 3 以上の異常波形が出現している状況で、オキシトシンの増量を行ったことは、一般的でない。
〇 既破水、子宮口全開大の状態で、2 時間 43 分胎児心拍数聴取を行わなかったことは一般的ではない。
〇 胎児蘇生として副腎皮質ホルモン剤を使用したことは一般的ではない。
〇 破水後の妊産婦の体温測定を分娩まで継続して行わなかったことは一般的ではない。
〇 診療録に吸引分娩および子宮底圧迫法についての詳細な記載がないことは一般的ではない。
新生児の経皮的動脈血酸素飽和度が低下している状況で、血糖値の測定など、原因の検索を行わなかったことは一般的でない。

事例番号:270055
〇 分娩監視方法について、17 時 48 分以降の胎児心拍異常がみられる状況で、18 時 20 分頃からの記録が胎児心拍プローブが外れた母体心拍の記録なのか、胎児が徐脈を呈している記録なのか判断できないままの分娩監視装置装着状態を約 1 時間継続したことは一般的ではない。
〇 19 時 20 分の子宮口全開大後 19 時 48 分頃より、胎児心拍数陣痛図からは心拍数基線頻脈、高度遅発一過性徐脈が繰り返し出現した胎児機能不全の状態と考えられ、保存的処置の施行、急速遂娩の準備または実行を行わずその後の人工破膜、ジノプロストによる陣痛促進を行ったことは基準から逸脱している。
20 時 45 分からの胎児心拍数陣痛図は波形の記録が不明瞭で、そのような胎児の状態の特定が困難な状況で、20 時 50 分にジノプロストを増量し子宮底圧迫法を実施し経腟分娩を続けたことは一般的ではない。
〇 胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:270054
〇 診療録に新生児の状態、処置内容、搬送の判断、時刻等の記録がないことは一般的ではない。

事例番号:270053
〇 陣痛促進薬の投与方法について、開始時投与量を 30mL/時間で開始したことは基準から逸脱している。
〇 新生児蘇生(胸骨圧迫、バッグ・マスクによる人工呼吸)は一般的であるが、挿管に 30 分以上を要したことは一般的ではない。

事例番号:270052
〇 入院後初回の分娩監視装置装着から2分後にオキシトシン投与を開始したことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数波形の評価について診療録に記載がないことは一般的ではない。子宮収縮薬の投与(説明・同意、オキシトシンの投与開始時量および増量)について、診療録に記載がないことは一般的ではない。
〇 アプガースコアの採点(出生直後に採点、採点した時刻と内訳の記載なし)と、新生児搬送までの児の状態についての記録がほとんどないことは一般的ではない。

事例番号:270051
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発症機序の解明、および予防法や診断法に関する研究を推進することが望まれる。常位胎盤早期剥離について、児の救命が困難であったり、救命されても脳性麻痺になる危険性があるという現状を広く国民に知らせ、その可能性が疑われた場合には早急に受診するよう、啓発することが望まれる。


事例番号:270050
〇 生後 6 分に原液ボスミンを 0.2mL、また臍帯静脈確保後にさらに原液ボスミン0.3mL を気管内投与しているが、原液を用いたことは一般的ではない。

事例番号:270049
〇 胎児心拍確認、羊水量の記載がないことは一般的ではない。
〇 来院時刻、医師診察時刻等を記載しなかったことは一般的ではない。
〇 新生児蘇生について、バッグ・マスク人工呼吸実施等の記載がなく評価できない部分もあるが、アドレナリンの短時間頻回投与は一般的ではない。

事例番号:270048
〇 尿糖陽性が持続しヘモグロビン A1Cの測定を行ったが、糖負荷試験などを行わずに経過観察したことは選択されることは少ない。
〇 メトロイリンテル(150mL)を挿入後、分娩監視装置を用いた連続監視を行わずに経過観察したことは選択されることは少ない。

事例番号:270047
〇 入院後(21 時 31 分(印字時刻)から)の胎児心拍数陣痛図の判読と対応(監視の強化、血管確保、分娩進行の速度に合わせた経腟分娩方針の判断など)は基準から逸脱している。
〇 新生児蘇生を要した児の状態が十分に安定する前に、生後 36 分から早期母子接触を行ったことは一般的ではない。
〇 生後 2 時間過ぎ頃に経皮的動脈血酸素飽和度測定器を外し、母子同室としたことも一般的ではない。

事例番号:270045
〇 妊娠 36 週以降の外来ノンストレステストの記録でリアシュアリングと判読していることは一般的ではない。
〇 分娩経過 ⑴ GBS 陽性の対応(入院時にピペラシリンナトリウム 2g を静脈投与、その後約 6-8 時間 毎に 1g の静脈投与)は選択されることは少ない。
〇 胎児心拍数陣痛図で基線細変動減少かほぼ消失がみられる状態で異常波形と判読せず、胎児心拍モニタリングを中止したことは一般的ではない。
〇 その後の胎児心拍モニタリング、胎児心拍数陣痛図で基線細変動減少および遅発一過性徐脈を疑う波形が出現している状態で異常波形と判読せず、胎児心拍モニタリングを中止したことは医学的妥当性がない。
〇 心拍数 120 回/分、自発呼吸再開をもってバッグ・マスクによる人工呼吸を中止しフリーフロー酸素投与に切りかえたこと、フリーフロー酸素投与実施後、経皮的動脈血酸素飽和度低値、呼吸が弱く全身性のチアノーゼを認める状況でバッグ・マスクによる人工呼吸を再開せず、フリーフロー酸素投与を継続したことは一般的ではない。

事例番号:270044
〇 分娩監視装置記録の紙送り速度記録速度を 2cm/分としたことは基準から逸脱している。
〇 入院時の対応(バイタルサインの測定、分娩監視装置装着、医師による内診)と、妊産婦へプロスタグランジン E2 錠投与による分娩誘発に関し書面を用いて説明し同意を取得したことは一般的である。
〇 2 日間にわたるプロスタグランジン E2 の適応・使用方法は選択肢のひとつである。
〇 プロスタグランジン E2 内服中に分娩監視装置を装着しなかったことは基準から逸脱している。

事例番号:270043
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
妊娠高血圧症候群の基準を満たさない軽度の血圧上昇かつ妊娠蛋白尿を呈した場合の予後と管理指針について検討することが望まれる。
※ 特に、本事例のように妊娠高血圧症候群の基準を満たさない軽度の血圧上昇(日本高血圧学会のガイドラインによる『正常高値血圧』=収縮期 130-139mmHg かつ/または拡張期 85-89mmHg に該当する場合)かつ妊娠蛋白尿を呈した場合の管理指針がない。

事例番号:270042
〇 絨毛膜羊膜炎が軽度認められ、中枢神経障害を増悪させた可能性も否定はできない。

事例番号:270041
〇 妊娠 39 週 6 日 17 時 30 分の医師の胎児心拍数波形判読(レベル 2 と判読)は一般的ではない。
〇 妊娠 39 週 6 日 17 時 38 分、その直前に高度遷延一過性徐脈が認められるレベル 4 の状態で、胎児心拍数陣痛図の評価をせずにトイレ歩行を許可し分娩監視装置を外したことは一般的ではない。

事例番号:270040
〇 初期蘇生の段階で頭部冷却を行うことは選択されることは少ない。

事例番号:270039
〇 生後 4 分までの新生児蘇生については診療録に記載がないため評価できない。この間の新生児蘇生に関する診療録に記載がないことは一般的ではない。

事例番号:270038
〇 陣痛誘発に関する説明と同意を口頭のみで行い、記録が診療録にないこと、同意書を得ていないことは、いずれも一般的ではない。
〇 オキシトシンの時間毎の増加量は一般的ではない。また、陣痛誘発実施中に分娩監視装置による連続記録を中断したことは、基準から逸脱している。
〇 14時40分以降、変動一過性徐脈、遅発一過性徐脈が出現している状態で、経過観察のみとしたことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図に子宮収縮波形が明確には記録されていないままで経過観察したことは一般的ではない。

事例番号:270037
〇 胎児心拍数陣痛図に子宮収縮が明瞭に記録されておらず、分娩監視装置の装着方法は一般的ではない。
〇 生後1日、哺乳意欲低下、発熱を認めた状況で、医師への報告や血液検査を実施せず経過観察としたことは一般的ではない。
〇 重症感染症が疑われる状態の新生児を看護スタッフのみでタクシーで搬送したこと、生後1日から啼泣が続き哺乳意欲が低下した状態で、新生児に関する医師の記録が生後2日の新生児搬送決定時刻まで明記されていないことは、いずれも一般的ではない。

事例番号:270036
〇 オキシトシンの開始時投与量および投与方法は、いずれも一般的ではない。

事例番号:270035
〇 搬送元分娩機関において、一絨毛膜二羊膜双胎の妊産婦を高次医療機関への紹介や高次医療機関と連携しながら診療せずに経過をみたことは基準から逸脱している。
〇 妊娠32週6日、両児ともFGRで経過している背景があり、胎児心拍数パターンをノンリアクティブと判断し、超音波断層法所見に異常を認めた状況で、母体搬送とせずに経過観察としたことは一般的でない。

事例番号:270034
□ 学会・職能団体に対して
ALTEについて
ALTEの実態調査、病態解明、防止策を策定することが望まれる。
また、医療従事者に対して新生児期の無呼吸、ALTE等に対する注意喚起や知識の普及、周知を行うことが望まれる。
早期母子接触について
分娩後の早期母子接触を安全に行うために、日本周産期・新生児医学会理事会内の“早期母子接触”ワーキンググループにより作成された「“早期母子接触”実施の留意点」について周知することが望まれる。

事例番号:270033
〇 緊急入院時に、内診、超音波検査、胎児心拍数の所見について診療録に記載がないことは一般的ではない。

事例番号:270032
〇 臍帯静脈確保等の処置やアドレナリン投与について、診療録に実施時刻の記載がないことは一般的ではない。

事例番号:270031
〇 「一過性徐脈(-)、基線細変動(+)」とした胎児心拍数陣痛図の判読は、一般的ではない。

事例番号:270030
〇 搬送元分娩機関に入院してから約1時間分娩監視装置を装着せずに経過観察をしたこと、胎児の徐脈が確認されてから分娩監視装置の装着までに18分を要したことは選択されることが少ない対応である。
〇 当該分娩機関に常位胎盤早期剥離の疑いで搬送され入院した妊産婦に、リトドリン塩酸塩を投与したことは胎児低酸素状態の改善および胎盤剥離の進行の抑制という利点があるため一般的であるという意見と、添付文書上は禁忌とされていること、子宮を弛緩させることにより出血を増大させる可能性があることから一般的ではないという意見があり、賛否両論がある。

事例番号:270029
□ 学会・職能団体に対して
母児同室ならびに母児同床(添い寝)時の安全管理について
母児同室ならびに母児同床時の新生児の有害事例について集約し、安全管理について検討・提言することが望まれる。
ALTE等に関する知識の普及について
新生児期の無呼吸、ALTE等に対する病態の解明と医療従事者に対しての注意喚起や知識の普及が行われることが望まれる。

事例番号:270027
〇 出生時の初期処置(刺激)を生後1分30秒位に開始したことは、日本版救急蘇生ガイドライン2010に基づく新生児蘇生法アルゴリズムに準じておらず一般的ではない。
〇 また、出生時のアプガースコアは生後1分4点であったにもかかわらず、早期母子接触を実施したことは一般的でない。

事例番号:270026
〇 既往帝王切開術妊婦で、妊娠37週2日入院時のノンストレステストで頻回の子宮収縮を認めた際に、リトドリン内服を指示したことは一般的ではない。
〇 視診上羊水過多を疑いながら、帝王切開を施行する前に超音波検査で羊水量の評価を行わなかったことは選択されることは少ない。

事例番号:270025
〇 生後1分で心拍が認められない状況で、生後3分に胸骨圧迫が開始されたことは一般的ではない。

事例番号:270024
〇 妊娠32週6日、胎児の健常性が確認されていない状況において、分娩監視装置を一旦終了したこと、その後、BPSや胎児血流測定等の胎児の健常性を確認する検査を行わず、分娩監視装置装着のみで経過観察したことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図上、基線細変動の減少および胎児頻脈を認める状態において、リトドリン塩酸塩を増量したことは選択されることの少ない対応である。
〇 胎児心拍数波形がサイナソイダルパターンを示しているとの認識がなかったとすれば一般的ではない。

事例番号:270023
〇 入院時の母体のバイタルサインの記載がないことは一般的ではない。

事例番号:270021
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離について
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。

事例番号:270020
〇 入院から分娩第Ⅰ期の対応は一般的である。
〇 分娩監視装置記録の紙送り速度については基準から逸脱している。
〇 分娩第Ⅱ期遷延となった時点で経過観察し、子宮口全開大後3時間以上経ってオキシトシンによる陣痛促進を開始したことは、児の健常性が保たれていたため一般的であるという意見と、分娩遷延の原因探索と対応をせずに、経過観察としたことは一般的ではないという意見の賛否両論ある。
〇 軽度変動一過性徐脈が頻繁にみられ、子宮口全開大後から長時間経ち分娩が進行しない時に、具体的な分娩方針について検討が緻密になされなかったことは一般的でない。
〇 帝王切開が決定されてから児の娩出まで約40分要していることは、やむを得ないが、この間に胎児心拍を確認しなかったことは一般的ではない。

事例番号:270019
〇 常位胎盤早期剥離と診断した後、妊産婦にリトドリン塩酸塩を投与したことには、胎児低酸素状態の改善および胎盤剥離の進行の抑制という利点があるため一般的であるという意見と、添付文書上は禁忌とされていること、子宮を弛緩させることにより出血を増大させる可能性があることから一般的ではないという意見の賛否両論がある。

事例番号:270018
〇 胎児心拍数陣痛図の記録速度が1cm/分であったことは一般的ではない。
〇 分娩室入室後、分娩監視装置のプローベの位置を調節するなどして、胎児心拍数を確認しなかったことは一般的ではない。
〇 高度徐脈を変動一過性徐脈と判断し、回復が認められると判読したことは医学的妥当性がない。
〇 出生後の蘇生処置は基準から逸脱している。

事例番号:270017
〇 遷延一過性徐脈が出現した際、胎児機能不全と考え血管確保を行ったことは一般的であるが、急速遂娩の実施を検討せず経過観察したことは、選択されることが少ない対応である。
〇 さらに、その後母体搬送し急速遂娩を高次医療機関へ依頼するのであれば、胎児機能不全と考えた時点で搬送依頼を行わなかったことは、一般的ではない。

事例番号:270016
〇 分娩監視装置装着を終了後、児娩出までの間に、胎児心拍数を確認した記録がないことは一般的ではない。

事例番号:270015
□ 学会・職能団体に対して
胎児期に発症したと考えられる中枢神経障害の胎児心拍数陣痛図を集積し、その特徴を明らかすることが望まれる。

事例番号:270014
〇 「産婦人科診療ガイドライン-産科編2011」においては、次の分娩監視装置装着までの一定時間(6時間以内)は間欠的児心拍聴取(15~90分ごと)で監視を行うとされており、約10時間にわたって間欠的児心拍聴取のみによる分娩監視を行ったこと、ときに間欠的児心拍聴取間隔が90分以上であったことは基準から逸脱している。
〇 心拍数60回/分未満の新生児に対して胸骨圧迫を行ったとの記録がない。もし胸骨圧迫やアドレナリン投与が行われなかったとすれば一般的ではない。

事例番号:270013
〇 妊娠29週より切迫早産等で入院管理とし、定期的に超音波断層法および胎児心拍数陣痛図にて胎児管理を行っているが、体重差を認めている状況で本児の血流計測を行わなかったことは選択されることの少ない対応である。
〇 妊娠33週で分娩を考慮した際に母体への出生前ステロイド投与を行わなかったことは選択されることは少ない。

事例番号:270012
〇 入院後の胎児心拍数陣痛図の判読および評価を診療録に記載しなかったことは一般的ではない。
〇 反復する遅発一過性徐脈を異常波形と判読しておらず、連続監視や医師へ報告を行わなかったことは基準から逸脱している。基線細変動はほぼ消失しており、一過性徐脈が認められ、急速遂娩の実行が求められる状況で、胎児徐脈あり、回復早いと判読したことは医学的妥当性がない。
〇 分娩から新生児の経過に関し診療録に詳細な記載がないことは一般的ではない。

事例番号:270011
〇 胎児心拍数陣痛図の記録速度を1cm/分で記録していたことは一般的ではない。
〇 35週6日の入院時以降、基線細変動の減少と反復する遅発一過性徐脈がみられており、連続的な胎児心拍数監視を行わなかったこと、急速遂娩に向けての準備・行動が行われることなく子宮収縮抑制薬を投与し、経過観察したことは医学的妥当性がない。新生児蘇生においてアドレナリンを心腔内へ投与したことは基準から逸脱している。

事例番号:270010
〇 入院後の胎児心拍数陣痛図で基線細変動が減少~消失し、一部にサイナソイダル様の波形もみられ、時折遅発性一過性徐脈がみられた時点で医師に報告せず、経過観察としたことは一般的でない。
〇 その後も同様の所見が認められているが、遅発一過性徐脈と判断せずオキシトシン点滴を開始したことは、胎児の状態をさらに悪化させる可能性があるため、基準から逸脱している。
〇 また「子宮収縮薬による陣痛誘発・陣痛促進に際しての留意点」によると、オキシトシン点滴の増量間隔は30分以上とされており、増量間隔が短いことは基準から逸脱している。

事例番号:270009
〇 胎児心拍数の低下が繰り返し認められる状態について、助産師が医師に報告していなかったとすれば一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図所見の評価について、診療録に医師による記載がないことは医学的妥当性がない。

事例番号:270008
□ 学会・職能団体に対して
脳室周囲白質軟化症の研究について
早産期に発症する脳室周囲白質軟化症の事例を集積し、発生機序、病態、診断、予防法、治療法等について研究を促進することが望まれる。
早産や前期破水に関する研究について
早産や前期破水の時期を更に細分化して、児の予後と妊娠・分娩管理との関連について、我が国の現状調査とそれに応じた管理指針の策定、および子宮内感染についての臨床診断法の開発など、研究の促進が望まれる。
早産児の神経学的後遺症発症予防に関する研究について
本邦において、胎児から新生児低酸素性虚血性脳症に対する脳保護を目的とした薬物治療(硫酸マグネシウム等)の大規模調査とエビデンスの有無についての検討、提言が望まれる。

事例番号:270007
〇 分娩第Ⅰ期に間欠的胎児心拍聴取間隔が135分空いていることは一般的ではない。
〇 分娩第Ⅱ期に徐脈が出現している状況で連続的胎児心拍数モニタリングを終了したことは一般的ではない。
〇 子宮収縮波形が記録されないまま経過観察したことは医学的妥当性がない。
〇 反復する一過性徐脈が認められるが、医師に報告しなかったことは基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数波形が正しく判読されない状況で分娩監視装置を外し、医師に立会い依頼の連絡を行うことなく、助産師のみで分娩を行ったことは医学的妥当性がない。
〇 分娩直後に児の筋緊張がなく啼泣のない状態で早期母子接触を行ったこと、児を妊産婦の胸の上にのせた状態で刺激を行ったこと、直ちに医師に報告しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 呼吸を確立する前に経皮的動脈血酸素飽和度モニターの装着を優先していることは一般的ではない。

事例番号:270006
〇 妊娠40週2日の受診後の胎児心拍数陣痛図では、基線細変動の減少と軽度遅発一過性徐脈が疑われる波形がみられ、その状態で胎児心拍数モニタリングを終了したことは医学的妥当性がない。
〇 無痛分娩、陣痛促進薬使用等の医療行為に対する同意書を得ていないことは一般的ではない。
〇 分娩室入室後の胎児心拍数陣痛図では基線細変動減少を伴った遅発一過性徐脈を認め、無痛分娩のための硬膜外麻酔による可能性があるが、高度遅発一過性徐脈を認めており、子宮収縮薬の増量に関して投与量の検討がなされた記録がないことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数低下に際し、この状況で他の急速遂娩を併用せず子宮底圧迫法を施行したことは選択されることの少ない対応である。
〇 吸引分娩の実施に際し詳細の記録がないことは一般的ではない。
〇 アプガースコアの項目別点数の記載や蘇生時の詳細な記載がないことは一般的ではない。

事例番号:270005
〇 前期破水後であることを考慮すると、炎症反応等の検査を行わなかったことは選択されることは少ない。
〇 妊娠39週4日15時頃以降、基線細変動は減少からほぼ消失で胎児機能不全を示唆する所見であり、その後の分娩方針について検討されていないことは一般的ではない。
〇 子宮口全開大から2時間以上経過し、微弱陣痛のため分娩停止と診断し陣痛促進を行うことは、胎児機能不全が疑われる場合は推奨しないとする意見と、急速遂娩の可能性を考慮したうえで、胎児の状態に十分注意して実施することは容認するという意見があり、医学的妥当性には賛否両論ある。
〇 陣痛促進開始前から基線細変動がほぼ消失しており、この時点で陣痛促進が選択されることは少ない。
〇 診療録に分娩停止の原因についての考察が記載されていないことは一般的ではない。
〇 高度遅発一過性徐脈が頻発している時点で急速遂娩術を行うことなく、子宮収縮薬を増量したことは一般的ではない。

事例番号:270004
〇 オキシトシン増量の方法は基準から逸脱している。

事例番号:270003
〇 妊娠40週2日の妊婦健診における胎児心拍数陣痛図は、妊娠37週5日の胎児心拍数陣痛図とは明らかに異なる波形を示しており、ノンストレステストの再検査をせずに帰宅させて経過観察とした対応は、そのパターンが非定型的であるため選択肢のひとつであるという意見と、サイナソイダル様パターンであり異常とみなすことができ、一過性頻脈も確認していないため、一般的ではないという意見の賛否両論があると考える。
〇 陣痛発来のため入院後、分娩監視装置装着により胎児状態を確認したことは一般的であるが、異常な胎児心拍数陣痛図パターンが認められる状態であるにもかかわらず、10分間のみの記録で終了したことは一般的ではない。
〇 基線細変動が減少し、波形レベル3の状態で、入院5時間後から約2時間半の間、連続モニタリングをしなかったことは基準から逸脱している。
〇 帝王切開分娩を決定後から児娩出までの間に、分娩監視装置の装着を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:270002
〇 児の状態についての記載が少ないことは一般的ではない。

事例番号:270001
〇 妊娠39週5日入院後の胎児心拍数陣痛図でノンリアシュアリングと報告を受けた医師が監視の強化(連続モニター)を指示しているが、胎児心拍数陣痛図を医師が直接確認していないとすれば一般的ではない。
〇 分娩5時間38分前の時点で波形レベル4~5の異常波形が持続していたことを考慮すると、推奨される対応は急速遂娩の実行であり、原因検索と急速遂娩の準備であったことは医学的妥当性がない。