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産科医療の無料法律相談real estate

原因分析報告書 事例番号240001~240109
事例番号:240109
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、および予防法や早期診断について研究を行うことが望まれる。

事例番号:240108
〇 妊娠中、尿検査において尿蛋白陽性が頻回に認められていたが、精密検査を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:240107
□ 学会・職能団体に対して
羊水塞栓症の病態解明、管理方法、ならびに意識障害がある事例の急速遂娩および麻酔の方法の指針を検討することが望まれる。

事例番号:240106
〇 入院翌日に分娩が約8時間停止していたが、この間に医療介入を行わなかったことについては、胎児心拍数が良好であれば経過観察をすることが一般的であるという意見と、医療介入を行わず経過観察したことは一般的ではないという意見があり、賛否両論がある。
〇 オキシトシンによる陣痛促進を開始したことは一般的であるが、投与方法は基準から逸脱している。
〇 診療録に吸引分娩時の吸引圧や回数、クリステレル胎児圧出法開始時の児頭の位置を記載しなかったことは一般的ではない。

事例番号:240105
〇 胎児心拍数陣痛図において、出現している徐脈は遅発一過性徐脈と判断されるが、その状態は続かず、その後の徐脈は、変動一過性徐脈とも読めることから、経過観察を行ったことはあり得るとする意見がある一方、心拍数波形はレベル4であることから、この時点有るで帝王切開の準備、あるいは実行が必要であるとする意見の賛否両論がある。
〇 胎児心拍数陣痛図終了後から児娩出まで胎児心拍数を確認しなかったことは一般的でない。

事例番号:240104
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。

事例番号:240103
□ 学会・職能団体に対して
分娩時に重症の低酸素・酸血症を呈さず、分娩前に胎内で発生した異常が脳性麻痺を発症したと推測される事例を蓄積して、疫学的および病態学的視点から、調査研究を行うことが望まれる。また、分娩時に明らかに異常がない場合でも、脳性麻痺が一定の頻度で発症することを周知することが望まれる。

事例番号:240102
〇 胎盤の病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。
〇 脳低温療法が実施されているが、適応基準に合致せず、選択されることは少ない。

事例番号:240101
〇 妊娠40週3日、午前2時58分から午前3時57分までの胎児心拍数陣痛図で、反復している軽度遅発一過性徐脈を否定した判読は基準から逸脱している。
〇 午前8時35分から午前10時50分までの胎児心拍数陣痛図で一過性徐脈がみられているがこの判読は難しいため、午前10時50分に分娩監視装置の装着を中止したことは賛否両論がある。
〇 午前11時30分に高度遷延一過性徐脈が発生しているのに対し、体位変換と酸素投与を行ったことは選択肢としてありうる。ただし、助産師が変動一過性徐脈と判読したことは基準から逸脱している。
〇 午前11時33分から午後2時までの胎児心拍数パターン異常の際のオキシトシン投与は「慎重投与」となっているので、午後1時44分からオキシトシンによる陣痛促進を行ったことは選択されることの少ない対応である。

事例番号:240100
〇 妊娠34週6日と妊娠35週0日の症状や服薬についての妊産婦の問い合わせに対し、医師に報告せずに助産師が電話で経過観察や服薬方法を指示したことは基準から逸脱している。

事例番号:240099
〇 TOLACを取り扱う産科施設としては、ダブルセットアップの状況下において、帝王切開決定から開始までの所要時間が30分であったことは、「一般的である」という意見と「時間が掛かり過ぎ」という意見の両論がある。

事例番号:240098
〇 オキシトシンの投与が開始された時は微弱陣痛とは判断されないことから、医師が陣痛を微弱と判断し、オキシトシンの投与を開始したことは一般的ではない。
〇 オキシトシンの使用については、口頭のみで説明を行って開始したこと、初回投与量が推奨量に比して多いことは基準から逸脱している。
〇 また、高度に胎児心拍数が低下した後、直ちにオキシトシンを中止しなかったことは一般的ではない。
〇 児頭が未固定の状態での人工破膜は臍帯脱出の危険があること、および児頭骨盤不均衡が考慮される状況であったことから、児頭が骨盤入口部に未固定の状態で人工破膜を行ったことは一般的ではない。
〇 臍帯脱出時、妊産婦を骨盤高位となるような体位に体位変換せず、臍帯還納を試みたことは選択されることは少ない。
〇 手術前に妊産婦に炭酸水素ナトリウムを投与したことは、胎児蘇生を目的とした母体への同薬剤投与の効果に関する根拠がないことから、一般的ではない。

事例番号:240097
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離に関する研究
常位胎盤早期剥離は突然発症し、発症した場合、児の予後が厳しい周産期異常である。この病態を事前に予知し、児の予後の改善につなげることは、現在の周産期医療の進歩の中にあって残された重要な課題の一つである。常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
常位胎盤早期剥離についての保健指導の充実
常位胎盤早期剥離の可能性が疑われた場合には早急に受診するよう、妊産婦への保健指導の充実を図ることが望まれる。

事例番号:240096
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、および予防方法や早期診断について研究を促進させることが望まれる。

事例番号:240095
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離に関する研究
常位胎盤早期剥離は突然発症し、発症した場合、児の予後が厳しい周産期異常である。この病態を事前に予知し、児の予後の改善につなげることは、現在の周産期医療の進歩の中にあって残された重要な課題の一つである。学会をあげて常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
常位胎盤早期剥離についての保健指導の充実常
位胎盤早期剥離の可能性が疑われた場合には早急に受診するよう、 妊産婦への保健指導の充実を図ることが望まれる。

事例番号:240094
□ 学会・職能団体に対して
TOLACを取り扱う場合に、妊娠中の管理として超音波断層法での子宮筋層観察の意義について再検討することが望まれる。TOLACを取り扱う施設においては、帝王切開がすぐに行える体制および新生児蘇生ができる体制を整える必要があることを周知徹底すること、また医師の勤務人数、帝王切開の体制、新生児蘇生の体制等、TOLACを取り扱う施設の現状把握のための実態調査が行われることが望まれる。

事例番号:240093
〇 メトロイリンテルを挿入したことについては、子宮頸管熟化目的であるため一般的であるという意見と、分娩第Ⅰ期で分娩が遷延していない場合は陣痛の増強と子宮頸管の熟化を待機することが一般的であり、挿入したことは一般的ではないという意見があり、賛否両論がある。
〇 助産師にメトロイリンテルの抜去を指示したことについては、助産師ではなく医師が抜去することが一般的であるという意見と、抜去時は胎児への影響は少ないため、助産師に抜去を指示したことは一般的であるという意見があり、賛否両論がある。
〇 臍帯脱出後に妊産婦を立位にさせることは、臍帯血流の減少、遮断を悪化させる可能性があり、妊産婦を独歩で分娩室へ入室させたことは医学的妥当性がない。
〇 臍帯還納が児の予後に関して良いという根拠はなく、医師および助産師が臍帯還納を行ったことは一般的ではない。
〇 オキシトシンの使用について口頭でも文書でも妊産婦へ説明しなかったことは、緊急事態であったためやむを得ないという意見と、基準から逸脱しているという意見があり、賛否両論がある。

事例番号:240092
〇 子宮収縮薬の使用法に関しては増加量および最終投与量が推奨されている投与量よりも多く、基準から逸脱している。
〇 波形レベル4(異常波形中等度)がみられる状態であったが、波形レベル3(異常波形軽度)と判断し、経過観察とし、クリステレル胎児圧出法以外の急速遂娩を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:240091
〇 分娩9時間53分前から9時間13分前までの胎児心拍数陣痛図において胎児心拍異常(遅発一過性徐脈)が出現しているにも拘らず、嘱託医療機関に搬送に関する相談をせずに自院にて経過観察としたことは基準から逸脱している。
〇 また胎児心拍異常が出現した後に、胎児 well-being の評価法として分娩監視装置による連続的な聴取・記録を行わずに間欠的胎児心拍聴取としていたことは、一般的ではない。
〇 分娩遷延の状況で嘱託医療機関に搬送しなかったことの医学的妥当性については賛否両論がある。
〇 児の頭部娩出から体幹部娩出まで8分間が経過している体幹娩出処置は一般的ではない。
〇 新生児蘇生処置としての人工呼吸を、体位保持がしにくい妊産婦の腹部の上で出生後27分間にわたって行ったことは基準から逸脱している。

事例番号:240090
〇 妊娠期間中に1回も腟分泌物培養検査を施行しなかったことは一般的でない。
〇 分娩当日、妊産婦からの陣痛開始および性器出血ありとの電話連絡に対し、自宅待機の指示をしたことはハイリスク妊産婦に対して選択されることの少ない対応である。

事例番号:240089
〇 分娩経過について、胎児心拍数陣痛図で波形レベル3異常波形(軽度)と考えられる時期に、急速遂娩の準備等の対応を行わず経過観察したことは一般的でない。
〇 波形レベル4異常波形(中等度)と考えられる時期に、急速遂娩の準備等の対応を行わず経過観察したことは医学的妥当性がない。
〇 その後も波形レベル4異常波形(中等度)が散見され、回復を認めない胎児心拍数パターンであるにもかかわらず、この時期に急速遂娩をせず、保存的処置としたことは医学的妥当性がない。
〇 妊産婦の全身疲労と子宮筋の疲労、胎児への影響を考え、子宮口が全開大であったにもかかわらず、オキシトシン投与を一時中止したこと、胎児徐脈後に、胎児心拍の回復があるとしてオキシトシンの点滴を再開したことは賛否両論がある。
〇 吸引分娩を5回行った後、児が娩出されるまでの23分間は経腟分娩を行っており、急速遂娩の方法の見直しを行わなかったことは一般的でない。
〇 絨毛膜羊膜炎と診断できる時期から児娩出までの46時間8分の間に血液検査によって子宮内感染の程度を調べなかったことは一般的でない。

事例番号:240088
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離に関する研究
〇 常位胎盤早期剥離は突然発症し、発症してからでは児の予後が厳しい周産期異常である。この病態を事前に予知し、児の予後の改善につなげることは、現在の周産期医療の進歩の中にあって残された重要な課題の一つである。学会をあげてこの疾患の臨床および基礎的病態に関する研究を推進することが望まれる。
妊産婦への喫煙に関する保健指導
喫煙の影響について積極的に周知し、妊産婦に対して、および妊産婦を取り巻く環境内での禁煙指導を推進することが望まれる。

事例番号:240087
〇 グリチルリチン、グリシン、システイン配合剤を連日投与したことは基準から逸脱している。
〇 妊産婦の著明な代謝性アシドーシスに対し一旦終了していた点滴を再開し補正したこと、内服薬を開始したこと、超音波断層法により週に1度胎児発育の確認をしたことは医学的妥当性がある。
〇 分娩監視装置を装着したことは医学的妥当性があるが、胎児心拍数陣痛図を記録として保存しなかったことは選択されることは少ない。

事例番号:240086
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発症機序の解明および予防方法や早期診断について、研究を行うことが望まれる。

事例番号:240085
〇 蓄尿蛋白定量検査を行わなかったことは一般的ではない。
〇 妊娠37週に帝王切開を予定したことについては、問題ないとする意見と、血圧の上昇、尿蛋白の増加がみられた時点で直ちに帝王切開をすべきとする意見との賛否両論がある。
〇 手術当日、基線細変動が減少しているにもかかわらず、胎児心拍数陣痛図での継続的な監視の強化やその原因を検索するなどの対応を行わなかったことは一般的ではない。
〇 新生児の頭部画像診断について、生後7日から生後29日まで行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:240084
〇 妊娠36週の時点におけるHbA1c値が、前回の値より上昇しており、胎児の健常性の評価と血糖の厳重な管理のために妊娠36週の時点で入院としなかったことは一般的ではない。
〇 入院時に血圧測定や尿検査を行っておらず、入院時の対応は一般的ではない。
〇 胎児心拍数パターンの判読は一般的ではない。
〇 オキシトシンの使用について、文書による説明と同意の取得を行ったことは一般的であるが、投与方法は基準から逸脱している。
〇 子宮口が全開大でない時期からクリステレル胎児圧出法を行ったことは基準から逸脱している。クリステレル胎児圧出法は約1時間以上にわたり多数回行った可能性があり、その場合は一般的ではない。

事例番号:240083
〇 糖尿病合併妊娠において、妊産婦の血糖値が低値であったにもかかわらず、ブドウ糖を投与せず子宮口全開大になるまで血管確保を行わなかったことは一般的ではない。
〇 微弱陣痛と診断し、オキシトシンによる陣痛促進を行ったことは医学的妥当性があるが、オキシトシンの投与開始量および増量間隔は基準から逸脱している。
〇 分娩Ⅱ期遷延と診断し、吸引分娩を決定したことは基準内であるが、総牽引時間が43分であったこと、およびⅠ児の分娩に際してクリステレル胎児圧出法を併用したことは一般的ではない。

事例番号:240082
〇 Ⅱ児の胎児機能不全が疑われるにもかかわらず、オキシトシンを増量したこと、母体に酸素を投与しなかったことは一般的ではない。
〇 クリステレル胎児圧出法を併用したことは、吸引分娩の補助として有効であるとする意見と、子宮破裂などの危険性や胎盤循環の悪化の可能性もあるとする意見があり、医学的妥当性には賛否両論がある。

事例番号:240081
〇 胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的でない。

事例番号:240080
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明および予防方法、早期診断について、研究を行うことが望まれる。

事例番号:240079
〇 B群溶血性連鎖球菌の陽性妊産婦で、ペニシリン過敏症がない場合にセファゾリンナトリウムを投与したことは選択されることは少ない。
〇 分娩誘発を行ったが、陣痛発来しなかった妊娠42週の妊産婦を一時退院させたこと、また陣痛誘発剤を内服させた直後に胎児心拍モニタリングを行わずに退院を決定したことも医学的妥当性がない。
〇 妊娠42週0日でのオキシトシンによる分娩誘発方法に関して、開始量、維持量ともに一般的であるが、増量のタイミングが早かったこと、投与中に胎児心拍モニタリングを連続的に施行しなかったことは基準から逸脱している。
〇 吸引分娩に関して、1回の吸引手技で児を娩出したことは医学的妥当性がある。
〇 医師が妊産婦の入院後の経過およびオキシトシン投与の開始時刻、投与量を診療録に記載しなかったことは一般的ではない。

事例番号:240078
〇 胎児心拍数陣痛図で児の健常性が保たれているとは判定できない状況で、分娩監視装置の装着を終了したことは選択されることは少ない。
〇 この時点で分娩監視装置の装着を終了したことは一般的でない。
〇 胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的でない。

事例番号:240077
〇 帝王切開決定から児娩出までの時間は応援の医師到着までの時間を考慮しても一般
的ではない。
〇 児へのボスミンの投与方法と投与量は一般的ではない。

事例番号:240076
〇 帝王切開決定から手術開始までに1時間43分を要したことは、当該分娩機関における最長の所要時間60分からみても一般的ではない。

事例番号:240075
〇 内診で臍帯触知を疑ったにもかかわらず、経腹超音波断層法のみで臍帯脱出を否定したことは医学的妥当性がない。

事例番号:240074
〇 GBS陽性妊婦に対して、妊娠中に抗生物質の内服投与を行ったことは基準から逸脱しており、妊娠33週以降にGBSの陰性化の確認検査を実施しなかったことは選択されることの少ない対応である。
〇 子宮頸管熟化不良例に対して、吸湿性頸管拡張材を用いた頸管拡張を行ったことは選択肢のひとつであるが、文書による同意を行わなかったことやGBS陰性を確認していない状況で外来で実施したことは医学的妥当性がない。
〇 胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。
〇 蘇生処置と児の評価について診療録に具体的に記載しなかったことは一般的ではない。

事例番号:240073
〇 妊婦健診時の胎児心拍数陣痛図をリアシュアリングと医師が判断したことは一般的でない。
〇 遷延一過性徐脈であったのに、看護スタッフが医師に連絡をしなかったことは、選択されることが少ない。
〇 回復不良な呼吸状態に対し、自発呼吸があるとしてバッグ・マスクによる人工呼吸を数回しか行わなかったこと、酸素投与を一時中止したこと、出生14分後頃まで小児科医に応援を要請しなかったことは一般的でない。

事例番号:240072
〇 一過性頻脈を認めず胎児心拍数基線細変動の減少を示す所見に対して、検査を追加して実施しなかったことは一般的ではない。
〇 分娩誘発を行うことは選択肢のひとつであるが、子宮頸管熟化剤と子宮収縮薬の併用投与は一般的ではない。

事例番号:240071
〇 アプガースコアの評価結果は医学的妥当性がない。蘇生手順は新生児蘇生法に準拠しておらず一般的でない。

事例番号:240070
〇 入院時に血圧が142/92mmHgで降圧剤を投与したことについては、投与するとする意見と軽度の妊娠高血圧症候群であるため投与しないとする意見の賛否両論がある。
〇 尿蛋白が5g/日を超えていたが、分娩方針として自然陣痛の発来待機としたことは管理方法として選択されることは少ない。
〇 ハイリスク妊娠の分娩管理方法として、連続的モニタリングおよび間欠的児心拍聴取の回数、子宮口全開大まで一度も内診を行わなかったことは一般的ではない。
〇 助産師が人工破膜を行い、努責を促したことについては、医師不在の状態のまま状態悪化が予測される児が娩出する可能性があり選択されることは少ないとする意見と、緊急の状態であり分娩を進行させるため選択肢としてあり得るとする意見の賛否両論がある。

事例番号:240068
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の原因は十分解明されておらず、そのため予知•予防に関しては十分な知見が集積されていない。今後、この分野での全国調査を行い、予知、予防等について検討することが望まれる。

事例番号:240067
〇 帝王切開予定妊産婦の妊娠後期におけるGBS検査の省略は選択されることが少ない。

事例番号:240066
〇 胎児の発育不全があると判断してアスピリンを処方したことは選択されることは少ない。
〇 B群溶血性連鎖球菌検査の実施時期を診療録に記載しなかったことは一般的ではない。
〇 帝王切開を腰椎麻酔で行ったことは選択肢の一つであるが、緊急の麻酔が求められる本事例で腰椎麻酔に先立って硬膜外麻酔を行ったことはDICの可能性も考えられることから一般的ではない。
〇 胎盤娩出後に全身麻酔下に子宮筋腫の核出術を行ったこと、手術後に胎盤を病理組織学検査に提出しなかったことは一般的でない。
〇 帝王切開後にDICの早期診断・治療のための術後凝固機能検査について、実施の有無や結果を診療録に記載しなかったことは一般的ではない。

事例番号:240064
〇 出生後に経皮的動脈血酸素飽和度低下のため、持続陽圧呼吸療法を行ったことは基準内であるが、呼吸性アシドーシスの状態で炭酸水素ナトリウムを投与したことは一般的ではない。

事例番号:240063
〇 蘇生の初期処置として刺激と吸引、酸素投与を行ったことは一般的であるが、その後、バック・マスクを実施せず、胸骨圧迫を開始したことは、蘇生の手順として選択されることは少ない。
〇 無呼吸状態の児に対して気管挿管を行ったことは医学的妥当性があるが、挿管チューブの位置の確認を行わないまま経過したことは一般的ではない。

事例番号:240062
〇 胎動消失がみられ、妊産婦の血圧が高い状態にもかかわらず、医師への報告をすぐに行わなかったことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図で頻脈があり、胎児心拍数基線細変動消失が継続していたが、待機的に管理を行ったことは選択されることの少ない方針である。

事例番号:240061
〇 出生直後、血液ガス分析のために児の静脈血を採取したことは一般的ではない。

事例番号:240060
〇 胎盤の病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:240059
〇 分娩が遷延している状況で、診療録に分娩進行の評価を記載しなかったことは一般的ではない。
〇 入院翌々日、分娩誘発を行ったことは一般的であるが、子宮収縮薬の投与前に内診を行わなかったことは一般的ではない。
〇 初期投与量、時間毎に増量する量が推奨量に比して多く、基準から逸脱している。
〇 出生後の対応について、胎盤病理組織学検査、臍帯動脈血ガス分析を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:240058
〇 前期破水のための入院後の対応については、胎児発育不全、胎児心拍数陣痛図での異常所見を認めるハイリスク妊娠であるにもかかわらず、正常妊産婦として管理したことは一般的ではない。
〇 分娩監視装置を外している間、30~60分毎にドップラで胎児心拍数の確認を行ったことは、ハイリスク妊娠であることを考慮すると、より頻回な聴取が必要であり、一般的ではない。
〇 また、胎児蘇生のため、妊産婦にメイロンを投与したことは一般的ではない。

事例番号:240057
□ 学会・職能団体に対して
母児早期接触については施行する医療機関が近年急激に広がっているが、早期接触中の窒息や無呼吸発作など有害事象の正確な頻度については知られていない。わが国における早期接触中の有害事象についての継続的な実態調査が望まれる。
また、上記実態調査の結果を踏まえて、「カンガルーケア・ガイドライン ワーキンググループ」の「根拠と総意に基づくカンガルーケア・ガイドライン」の妥当性について検討し、必要に応じて修正した上で、学会・職能団体としてのガイドラインに盛り込むことが望まれる。

事例番号:240056
〇 妊娠高血圧腎症の妊娠中の管理について、偏頭痛や眼華閃発がみられたにもかかわらず、頻回に診察しなかったこと、血圧が168/103mmHg、尿中蛋白量が(+)となった時点で入院管理としなかったことは一般的ではない。
〇 また、血圧が174/117mmHg、尿中蛋白量が(4+)となった妊婦健診の当日に妊産婦を入院管理とせず、その翌日に入院させたことは、基準から逸脱している。
〇 入院後については、降圧剤の使用開始時期や、経口降圧剤の第一選択薬としてアダラートを使用したことは基準から逸脱している。
〇 その後、ペルジピンの点滴投与を選択したことは基準内であるが、開始使用量が多かったことは基準から逸脱している。
〇 また、尿中蛋白量の評価について、随時尿での評価しか行わなかったことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図から胎児機能不全と判断される状態にもかかわらず、継続的な胎児心拍数監視や、急速遂娩の実行など異常波形への対応を行わず、経過観察としたことは基準から逸脱している。
〇 新生児の対応について、出生後すぐに血糖値の測定を行わず、低血糖状態を持続させたことは、一般的ではない。

事例番号:240055
〇 妊産婦の年齢や家族歴に糖尿病があることを考慮すると、妊娠糖尿病のスクリーニングを行わなかったことは基準から逸脱している。
〇 トラネキサム酸の投与については、血栓症のリスクを高めるとの意見もあり、一般的ではない。
〇 分娩管理については、高度遷延一過性徐脈が出現時、助産師が医師に報告し、指示にて妊産婦の体位変換、酸素投与、血管確保を行い、その後、経過観察したことは医学的妥当性があるが、その時点で医師の診察がなかったことは一般的ではない。
〇 ボスミンの投与量については一般的ではない。

事例番号:240054
〇 予定帝王切開の日程を妊娠38週4日としたことは選択肢としてあり得るが、妊娠37週以降もリトドリン塩酸塩を投与したことについては賛否両論がある。
〇 胎児蘇生目的に妊産婦に炭酸水素ナトリウムを投与したことは一般的ではない。

事例番号:240053
〇 B診療所の受診時に胎児の評価として大横径のみを計測することは選択されることが少ない。
〇 当該分娩機関における帝王切開までの対応は適確であるが、胎盤の病理組織学検査を行わなかったことは一般的でない。

事例番号:240052
〇 ニフェジピン選択の理由および妊産婦への説明内容の詳細を診療録に記載しなかったことは一般的ではない。
〇 胎児心拍陣数痛図で基線細変動の減少部分があるにもかかわらず、胎児心拍数モニタリングを中止したことは、医学的妥当性がない。
〇 胎児心拍数の低下から児娩出までに要した時間の医学的妥当性に関しては賛否両論がある。

事例番号:240051
〇 分娩管理においては微弱陣痛の診断時期は遅い。オキシトシンの使用方法は初期投与量がガイドラインに比して多く、基準から逸脱している。
〇 さらに、遷延性徐脈が出現した時点でオキシトシンの投与量を増量したこと、陣痛が過強となった状態でオキシトシンを増量し続けたことは選択されることの少ない対応である。
〇 吸引開始から娩出までに要した時間、吸引回数は基準内であるが、家族からの意見によれば、吸引は30分以上にわたり2人の医師がそれぞれ10回くらい行い、何回も滑脱したとされており、もしその通りだとすれば、本事例の吸引分娩の施行は劣っている。
〇 新生児蘇生は概ね日本版新生児蘇生法に則って実施されたが、胸骨圧迫の判断は基準から逸脱しており、および児の状態が悪化しているにもかかわらず蘇生方法の見直しを行わなかったことは基準から逸脱している。

事例番号:240050
〇 分娩経過中、入院時以外の血圧の記録がないことは一般的ではない。
〇 午前6時45分頃から一過性徐脈が認められているにもかかわらず子宮収縮が記録されないまま監視を行ったことは一般的ではない。
〇 午前11時50分頃からは波形レベル5であり、それに相応する対応として、新生児蘇生を準備したことは基準内であるが、急速遂娩の方針ではなく陣痛促進を行ったことは基準から逸脱している。
〇 胎児機能不全の状態に対するオキシトシンの使用は基準から逸脱している。

事例番号:240049
〇 胸骨圧迫の開始が出生5分後であったことは基準から逸脱している。
〇 出生8分後にボスミンを希釈せずに気管内投与したことは一般的ではない。
〇 胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的でない。

事例番号:240048
〇 妊娠37週3日、助産師が徐脈確認から医師へ連絡するまでに34分間を要したことは一般的でない。

事例番号:240047
□ 学会・職能団体に対して
母児間輸血症候群の発症について、その病態、原因、リスク因子の解明および早期診断の研究を推進することが望まれる。

事例番号:240046
〇 妊娠高血圧症候群を推定した検索を実施していなかったとすれば一般的ではない。
〇 外来の胎児心拍数陣痛図で、監視の強化が必要と判断される所見を認めた後、再度分娩監視装置が装着されるまでに約2時間経過したことは一般的ではない。
〇 入院後、胎児機能不全の重症化を示唆する所見を認めているにもかかわらず、経過観察としたことは医学的妥当性がない。

事例番号:240045
〇 妊娠中の使用薬剤については、トラネキサム酸の投与は選択されることが少なく、大柴胡湯の使用は一般的でない。
〇 高血圧合併がある妊産婦で、オキシトシン開始後の定期的なバイタルサインのチェックを行わなかったことは基準から逸脱している。
〇 オキシトシンの投与の用法、用量に関しては基準から逸脱している。
〇 妊娠37週6日午後2時20分以降、分娩までの胎児心拍数陣痛図所見について、医師が異常はないと判断したことの医学的妥当性には賛否両論がある。
〇 異常分娩であったにもかかわらず、胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的でない。
〇 出生5分後までバッグ・マスクによる人工呼吸を行わなかったことは基準から逸脱している。

事例番号:240044
〇 妊娠経過では、妊娠糖尿病スクリーニング検査を行わなかったことは一般的ではない。
〇 双胎妊娠であり、早産のハイリスクであるにもかかわらず、経腟超音波断層法による子宮頸管長測定をほとんど行わなかったことは選択されることは少ない。
〇 臍帯脱出を確認後、臍帯還納を試みたことは選択されることの少ない処置である。
〇 胎盤の病理組織学検査を行わなかったことは一般的でない。

事例番号:240043
〇 入院3日目に微弱陣痛に対し、オキシトシンの投与を開始したことは選択肢の一つであるが、妊産婦とその家族に文書による同意を得なかったこと、初期投与量、増量が過剰であったことは基準から逸脱している。
〇 胎児機能不全が疑われる状態にもかかわらず、オキシトシンの投与を継続したことは一般的ではない。
〇 児頭の位置がSp-1cmの状態で吸引分娩を開始したこと、クリステレル胎児圧出法を併用した吸引分娩を実施した後、帝王切開開始までの約1時間にわたり、分娩監視装置による胎児心拍数モニタリングを行わなかったことは一般的ではない。
〇 吸引分娩の総牽引時間が20分を超過し、その後、帝王切開決定まで40分、児娩出まで1時間28分を要したことは基準から逸脱している。
〇 出生後の約50分間、経皮的動脈血酸素飽和度を計測しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 連絡を受けた高次医療機関の医師が、低血糖と経皮的動脈血酸素飽和度の低下がなければ、様子観察するように伝えたことは、入院の受け入れが不可能であった場合はやむを得ないが、入院の受け入れが可能であった場合は医学的妥当性がない。
〇 パルトグラムを記載しなかったこと、および分娩の進行に関する判断や吸引分娩終了後から帝王切開開始までの胎児心拍数陣痛図の判読、児が出生した後の約50分間の経過について診療録に記載しなかったことは一般的ではない。

事例番号:240042
□ 学会・職能団体に対して
破水など、どのような症状があった場合に来院すべきかといった妊産婦への指導要綱の作成が望まれる。
事例番号:240041
〇 妊婦健診の際に実施した胎児心拍モニタリングの記録を保管しなかったことは一般的ではない。

事例番号:240040
〇 入院後、分娩監視装置による胎児心拍数モニタリングを行い、入院時の胎児心拍数陣痛図を胎児心拍数が90拍/分となり、回復した後は、胎児心拍数の低下がないと判断し、分娩監視装置を一旦終了したことは、賛否両論がある。
〇 しかし、分娩監視装置の時刻設定を行わなかったことは一般的ではない。
〇 高度な胎児機能不全での緊急帝王切開において、硬膜外麻酔を併用したことは一般的ではない。

事例番号:240039
〇 分娩経過中の血圧管理は一般的ではない。
〇 子宮口が閉鎖していたことに対しラミナリアを挿入したことは一般的であるが、入院時およびラミナリアを挿入する際に分娩監視装置を装着しなかったことは一般的ではない。
〇 さらにその後約9時間胎児心拍数を確認しなかったこと、観察の強化、保存的処置の施行、または急速遂娩の準備が必要な状況にもかかわらず助産師が医師に報告しなかったこと、妊産婦に炭酸水素ナトリウムを投与したことは一般的でない。

事例番号:240038
〇 入院後の胎児心拍数陣痛図をリアシュアリングと判断したことは一般的ではない。
〇 帝王切開中にプロスタグランジンF2αを子宮筋に投与したことは、基準から逸脱している。
〇 異常分娩であったにもかかわらず、胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。
〇 ボスミン投与に関しては、気管内に原液で投与したことは一般的ではない。

事例番号:240037
〇 分娩室入室後に、胎児蘇生の目的で妊産婦にメイロンを投与したことは一般的ではない。

事例番号:240036
〇 妊娠中の管理として、塩酸ピペリドレートの投与は選択されることは少ない。
〇 妊産婦にメイロンを投与したことは一般的でない。

事例番号:240035
〇 軟産道強靭、微弱陣痛の判断で吸引分娩を開始したことは基準から逸脱している。
〇 1度目の吸引分娩が不成功に終わった時点で分娩方法の見直しを行わず、分娩の待機、子宮収縮薬の投与、約4時間に4度、計11回にわたるクリステレル胎児圧出法を併用した吸引分娩を反復実施したことは劣っている。
〇 会陰切開部からの出血量が多量であるにもかかわらず、分娩方法の見直しを行わなかったこと、オキシトシンの初回投与量、胎児心拍数陣痛図の判読は基準から逸脱している。
〇 胎盤病理組織学検査を行っていないことは一般的ではない。

事例番号:240034
〇 午後7時51分からの胎児心拍数陣痛図において、胎児は低酸素状態と考えられ、原因検索としての母体全身状態の確認や超音波断層法、酸素投与などの保存的処置、さらには急速遂娩の準備が必要な場合もあり、これらを行わずに経過観察としたことは一般的ではない。
〇 午後8時55分以降は胎児酸血症と考えられる所見であり、原因検索、保存的処置、急速遂娩の準備をせずに経過観察としたことは基準から逸脱している。
〇 午後11時30分からはさらに酸血症が進行している所見と考えられることから、急速遂娩を施行せずに経過観察としたことは医学的妥当性がない。
〇 新生児蘇生法は適確であったが、心拍回復と自発呼吸を認めた後に抜管し、再挿管したことは一般的ではない。

事例番号:240033
〇 妊娠33~37週にB群溶血性連鎖球菌の保菌診断を行っていないことは一般的ではない。
〇 ダイラパンを挿入したことは選択肢としてあり得る。分娩監視方法については連続的モニタリングの回数が不足していると考えられ一般的ではない。

事例番号:240032
〇 B群溶血性連鎖球菌(GBS)のスクリーニング目的の腟分泌物培養検査を妊娠33週以降に再度実施しなかったことは、一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図の保存をしなかったことは一般的ではない。

事例番号:240031
〇 分娩後、異常産であったにもかかわらず、胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:240030
〇 搬送元診療所においては、母体貧血に対してクエン酸第一鉄ナトリウムを処方したこと、胎児発育の評価を行ったこと、妊産婦が腹部緊満感を訴えた際に子宮頸管の変化を検査し、リトドリン塩酸塩を処方したことは一般的である。
〇 早産既往妊婦への対応については、一次医療施設だけで継続して妊娠管理していたことは賛否両論がある。
〇 搬送元診療所に到着時、常位胎盤早期剥離の疑いがあると判断し、ヒドロキシエチルデンプンを投与したことは一般的であるが、子宮腔内強圧タンポン法を行ったことは選択されることは少ない。
〇 常位胎盤早期剥離疑いで、ショック症状をきたしている妊産婦にリトドリン塩酸塩を投与したことは一般的ではない。

事例番号:240029
〇 入院時の助産師の対応として、胎児心拍数を確認しなかったことは一般的ではない。

事例番号:240028
〇 妊娠27週に胎児発育低下傾向を確認していたにもかかわらず、妊婦健診の頻度を増やさなかったことは、選択されることが少ない。
〇 胎児発育低下傾向が認められたにもかかわらず超音波断層法による胎児発育の評価を行わず、高次医療機関にも紹介しなかったことはいずれも一般的でない。
〇 1児あたり6~10分間のみのNSTで、胎児をリアシュアリングと評価したことは、測定時間が短く一般的でない。

事例番号:240027
〇 使用にあたってのインフォームドコンセントに関する記録が診療録にないことは、一般的ではない。
〇 分娩誘発中に分娩監視装置の装着を中止したことについては、医学的妥当性について賛否両論がある。
〇 常位胎盤早期剥離が発症した後の対応は迅速であり優れている。臍帯動脈血ガス分析を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:240026
〇 妊婦健診で観察すべき項目はおおむね網羅されていたと考えられ一般的であるが、羊水量について評価しなかったことは一般的でない。
〇 入院後の胎児心拍数陣痛図の陣痛波形が正しく記録されなかったことは一般的でない。
〇 高度変動一過性徐脈または高度遅発一過性徐脈の胎児心拍数パターンを早発一過性徐脈からの回復は良好であると判断したこと、160拍/分以上の基線頻脈と高度遅発一過性徐脈に対して急速遂娩の準備を行わなかったことは一般的でない。
〇 基線細変動の減少を伴う高度の異常波形に対して急速遂娩を直ちに実施しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 胸部レントゲン撮影を行うまで片肺挿管に気付かなかったことと、呼吸管理方法は一般的でない。
〇 高次医療機関への新生児搬送のタイミングには賛否両論がある。

事例番号:240025
〇 手術直前に細菌性腟症が完全に治癒していない状態で子宮頸管縫縮術を行ったことは賛否両論がある。
〇 マグネシウム濃度のモニターを行わずにマグセントの使用をすることは選択されることは少ない。
〇 妊娠経過中のカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム投与に関しては、選択されることは少ない。
〇 また、トラネキサム酸投与に関しては一般的でない。
〇 ボスミンの投与までの時間および投与量については一般的でない。

事例番号:240024
〇 妊娠36週5日、36週6日に軽度の胎児機能不全の兆候が認められるにもかかわらず、胎児の状態が良好であると判断したことは一般的でない。
〇 一過性徐脈が認められる胎児心拍数陣痛図を良好と判断したことは、一般的ではない。
〇 翌朝、胎児機能不全と診断し緊急帝王切開を決定したことは適確であるが、周産期母子医療センターの指定を受けている当該分娩機関において、胎児機能不全と診断してから児娩出に至るまで1時間26分間を要したことは、一般的でない。

事例番号:240023
〇 妊産婦への説明と同意に関する記録がないことは、一般的ではない。
〇 子宮収縮薬を使用した際に、妊産婦の血圧などのバイタルサインの観察を入院後から児が娩出するまでに2回しか行わなかったことは,基準から逸脱している。
〇 分娩監視装置の終了後、陣痛の観察をしなかったことは一般的ではない。
〇 また、分娩が急速に進行し、子宮口が全開大となった後、胎児心拍数がはっきり確認できない状況であったにもかかわらず、医師へ報告するまで25分間を要したことは、一般的ではない。
〇 経皮的動脈血酸素飽和度が改善しない原因の検索を行わず、気管挿管と気管挿管のチューブの抜去を繰り返したことは一般的ではない。

事例番号:240022
〇 胎盤の病理組織学検査を行わなかったことは、一般的ではない。

事例番号:240021
〇 分娩中の発熱や破水に対し、血液検査で感染兆候を確認しなかったことは一般的ではないが、抗菌薬を投与しなかったことについては賛否両論がある。
〇 また、体温や脈拍を測定したとされているが診療録に記録されていないことは一般的ではない。
〇 胎盤の病理組織学検査で子宮内感染や絨毛膜羊膜炎の有無を確認しなかったことは一般的ではない。

事例番号:240020
〇 無痛分娩に関しては、無痛分娩を行ったこと、使用薬剤、投与量は一般的であるが、麻酔薬注入前、および注入後の35分間、胎児心拍数の確認を行わなかったことは一般的でない。
〇 また、初回薬剤投与から28分後以降、血圧測定を行わなかったことは一般的でない。
〇 ミニメトロを使用したことは医学的妥当性がある。
〇 オキシトシンの使用に関しては、初期投与量、増量の速度、開始から12分間分娩監視装置を装着しなかったことは基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数の異常を助産師が約3時間認識しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 また、医師が助産師から報告を受けるまで胎児心拍数の異常を認識しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 胎児心拍数に異常が認められているにも拘らず、オキシトシン点滴を増量したことは医学的妥当性がない。
〇 急速遂娩が必要であると判断したにも拘らず医師が外来診療のために一時的に妊産婦の側を離れたことは医学的妥当性がない。
〇 出生後、口鼻腔内吸引、人工呼吸を行ったことは一般的であるが、それらの処置により心拍が再開しなかったにもかかわらず、ただちに胸骨圧迫を行わなかったことは基準から逸脱している。

事例番号:240019
〇 妊娠経過中、妊娠41週2日まで腟分泌物培養検査を実施しなかったことは基準から逸脱している。
〇 分娩誘発に関して、オキシトシンの開始時の投与量が規定より多かったことや、増量間隔が規定より短かったことは基準から逸脱している。
〇 児がNICUに入院するまでの対応は一般的であるが、振戦様の動きがみられた後、バイタルサインの測定を行ったにもかかわらず、その値など観察した結果を診療録に記載しなかったことは一般的ではない。

事例番号:240018
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、および予防方法や早期診断について、研究を行うことが望まれる。

事例番号:240017
〇 妊娠糖尿病のリスク因子がある妊産婦に対して、スクリーニングを1度しか行っていないことは一般的ではない。
〇 GBSスクリーニングを行ってないことは基準から逸脱している。
〇 既往帝王切開後の経腟分娩の分娩誘発であることに関して、子宮破裂等のリスクの説明について診療録の記載や同意書がないことは基準から逸脱している。
〇 吸引分娩の実施については賛否両論がある。
〇 初回の吸引分娩実施後、オキシトシンによる陣痛促進を選択したことは医学的妥当性がない。
〇 オキシトシン実施後、遷延一過性徐脈への進行の時点で、オキシトシンの減量または中止と速やかな鉗子分娩の実施もしくは帝王切開への切り替えを行わなかったことは医学的妥当性がない。
〇 吸引分娩、鉗子分娩が実施された場合の新生児管理は一般的ではない。

事例番号:240016
□ 学会・職能団体に対して
本事例は、胎児心拍数陣痛図の所見と、出生した児の状態に乖離が認められた。
本事例のような、第1子分娩後の第Ⅱ児の胎児心拍数パターンと児の状態との関係について研究し、胎児心拍数図の判読に関する指針を作成することが望まれる。
本事例は、第1子分娩から第2子分娩まで、55分間を要した。
双胎における第1子分娩から第2子分娩までの時間と、第2子の予後との関係について研究し、第1子分娩後の第Ⅱ児分娩法に関する指針を作成することが望まれる。
本事例の遷延一過性徐脈後の胎児心拍数波形を、当該分娩機関は「胎児が回復した」と判断し、さらに本事例発生後に開催した検討会では、「モニター上、母体動脈音が胎児心拍と誤って認識されていた」と結論付けている。
しかしながら、定型的な異常分類パターンに該当しないものの正常とは言い難い波形であり、また、母体脈拍数ではなく胎児心拍数と考えるのが妥当であると考えられる。本事例のような判読が難しいパターンの解析、その対処法については、今後学会において検討することが望まれる。

事例番号:240015
〇 胎児推定体重が日本超音波医学会の標準値から評価すると妊娠31週より+2SD以上で経過していたことや妊娠24週の随時血糖値が113mg/dLであったにもかかわらず、巨大児となる可能性を念頭に置いた管理や妊娠糖尿病を疑った75gOGTT検査は行われていないことは基準から逸脱している。
〇 分娩誘発に関しては、妊産婦への説明と同意に関する記録が診療録にないことは基準から逸脱している。
〇 人工破膜については、医師は「児頭嵌入」と判断して人工破膜を実施したが、ステーションの高さが記録されていないため根拠が明確ではない。この時点で人工破膜を行った医師の判断の医学的妥当性には賛否両論がある。
〇 臍帯脱出後に経腟分娩を試みたことの医学的妥当性には賛否両論がある。
〇 臍帯脱出を来した際にクリステレル胎児圧出法を単独で施行したことには医学的妥当性がない。
〇 新生児の心拍数が100回/分以上の状態で胸骨圧迫を継続し、10倍希釈ボスミン投与を行ったことは一般的ではない。

事例番号:240014
〇 妊娠38週4日の午前2時5分から約40分間と午前4時15分から約40分間の胎児心拍数陣痛図において、胎児心拍が記録されていない箇所があり、胎児の状態を良好と判断したことは一般的でないとの意見もあるが、基線細変動は正常で一過性頻脈を認めることから異常とは言えないとの意見もあり、看護スタッフが胎児の状態を良好と判断したことには賛否両論がある。
〇 この後、約6時間、胎児心拍数の確認をしなかったことは一般的でない。
〇 また、午前10時40分から記録された胎児心拍数陣痛図によると、胎児心拍数波形がレベル5に該当するにも拘わらず、オキシトシンによる陣痛促進を開始したことは基準から逸脱している。

事例番号:240013
〇 腹痛、出血が認められたにもかかわらず、胎児心拍数モニターを装着せず、子宮収縮状態、胎児の健康状態の評価を行わなかったことは一般的ではない。
〇 妊産婦が一旦帰宅した後も下腹部痛が持続しているため入院の希望を伝えた際、看護スタッフが医師へ確認後、当日ではなく翌日に来院するよう指示したことは一般的ではない。
〇 この際、胎児心拍数の波形異常が高度であることの認識が不十分であった可能性もあるが、医師の判断した内容が診療録に記録されていないため評価できない。

事例番号:240012
〇 経腟分娩を選択したことは選択肢としてあり得るが、経腟分娩のリスクについて妊産婦に説明し同意を得なかったこと、および点滴のルートを確保しなかったこと、分娩監視装置を約1時間装着した後、約2時間装着しなかったことは一般的でない。
〇 大量出血を確認後、バイタルサインの測定と医師への報告が20分後となったことと、大量出血後に20分間胎児心拍数の確認を行わなかったことは一般的でない。
〇 新生児蘇生は一般的であるが、NICUへ搬送し治療が開始されるまでに約4時間が費やされており、その間の対応は医学的妥当性がない。

事例番号:240011
〇 子宮内感染の診断(疑い)と対応に関しては、入院後、体温と脈拍の上昇が認められていないことから一般的な対応が行われていたと考えられるが、分娩前の約11時間は、体温と脈拍に関する記録がなく、子宮内感染症が疑われる状態であったかが判断できず、この間の対応については評価できない。
〇 胎児心拍数陣痛図が適切に記録されていないことは一般的でない。
〇 原因分析委員会は、分娩所要時間が42時間16分で遷延分娩の定義を満たしていると判断するが、当該分娩機関においては分娩所要時間が12時間16分と判断された。
〇 オキシトシンの最終的な使用速度は安全限界を超えておらず、増量間隔も基準内であるが、初期投与量が多い点は基準から逸脱している。
〇 胎児心拍パターンに異常が認められた後、オキシトシン点滴と努責が続けられており、総合的な判断に基づき分娩方針(急速遂娩の実行)の検討を行わなかったのであれば、一般的ではない。

事例番号:240010
〇 入院後の胎児心拍数陣痛図(軽度異常波形)に対して、体位変換のみを施行し、分娩監視装置装着から36分後まで医師へ報告しなかったことと、酸素投与を行わなかったことは一般的でない。
〇 児娩出までの酸素投与、点滴開始等の一連の対応は一般的であるが、胎児蘇生目的での40%ブドウ糖液およびメイロンの投与は一般的でない。
〇 児の蘇生処置および搬送体制に関して、出生直後の吸引、刺激等の一連の処置は一般的であるが、人工呼吸をマウスツーマウスで行ったことは一般的でない。
〇 その後の呼吸不全状態に対して保育器収容下に酸素投与のみを継続し、バッグ・マスクまたは気管挿管による人工呼吸管理を行わなかったことは基準から逸脱している。
〇 NICUへの搬送を決定したことは一般的であるものの、搬送決定時期は基準から逸脱している。

事例番号:240009
〇 妊娠36週5日の妊婦健診時、再入院させなかったことは選択されることの少ない対応である。
〇 また、分娩監視装置を装着しなかったことは一般的ではない。
〇 入院時に血液検査を行わなかったことは一般的でない。
〇 母児の状態の評価を行わないまま経過観察のみにとどめ、急速遂娩または母体搬送の必要性について検討を行わなかったことは基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数陣痛図の判読は医学的妥当性がない。
〇 母体搬送の前に分娩の進行状況を確認しなかったことは劣っている。
〇 母体の状況等を考慮すると看護師1人のみの同乗での母体搬送は一般的でない。

事例番号:240008
〇 医療従事者が十分に観察していない状況で、出生直後の児に乳首の吸啜を行わせたことは、一般的ではない。

事例番号:240007
〇 妊娠歴、病歴、既往等を聴取しなかったことは一般的ではない。
〇 腟分泌物培養検査を行わなかったことは基準から逸脱している。
〇 新生児仮死に対する蘇生は適確であるが、搬送中を含めた新生児の保温の方法については一般的ではない。

事例番号:240006
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の研究について
常位胎盤早期剥離の発症機序の解明、予防法の開発等に関する研究の促進が望まれる。
妊産婦への啓発について
常位胎盤早期剥離の予後は、異常発生時の妊産婦自身の意識と行動に大きく左右される。妊産婦教育の更なる充実と啓発活動が望まれる。

事例番号:240005
〇 入院直後と午後3時30分からのCTG所見には胎児機能不全を疑わせるものがあり、連続的モニタリングをしなかったことは基準から逸脱している。

事例番号:240004
〇 妊婦健診は基準内である。破水の連絡を受け直ぐに来院を指示したことは一般的であるが、来院手段については賛否両論がある。

事例番号:240003
〇 妊娠4週の切迫流産の診断に対してトラネキサム酸を処方したことは一般的でない。
〇 妊娠41週0日の時点で胎児発育不全と診断しなかったことは一般的でない。
〇 妊娠41週で児の発育鈍化ないしは軽度の胎児発育不全を合併する妊産婦に対して胎児健常性の評価を行いながら陣痛発来待機すべきか、あるいは陣痛誘発あるいは急速遂娩などの管理分娩を計画すべきか、に関して統一した見解がないことから、妊娠41週0日の時点で外来健診を続行したことの医学的妥当性には賛否両論がある。
〇 妊娠41週4日の入院時に胎児機能不全に対して、体位交換は行われたものの、その他、酸素投与等の保存的処置は行われなかった。この点は、保存的処置により必ずしも効果が得られるとは限らないため賛否両論がある。
〇 入院後に帝王切開を選択し施行したことは医学的妥当性がある。手術までの時間に酸素投与あるいは体位変換といった保存的処置がとられていない点は保存的処置により必ずしも効果が得られるとは限らないため賛否両論がある。新生児仮死に対する児への一連の蘇生処置は適確である。診療録記載の不備は、妊産婦への説明と同意および診療録記載における情報の信頼度の点で基準から逸脱している。

事例番号:240002
〇 トラネキサム酸の妊娠中の投与については一般的でない。GBSスクリーニング検査の実施時期については一般的ではない。
〇 前期破水入院からの分娩誘発実施の対応は一般的である。子宮収縮薬の投与方法に関して、プロスタグランディンF2αについては基準内であるが、オキシトシンについては基準から逸脱している。陣痛促進薬を使用中の分娩監視装置による分娩監視については、オキシトシン使用時は基準内であるが、プロスタグランディンF2α使用時は基準を逸脱している。
バイタルサイン(体温、血圧、脈拍)については、臨床的に絨毛膜羊膜炎を疑う所見があることからも、測定しなかったことは基準を逸脱している。
〇 適応と要約を満たさずに吸引分娩を行ったことは一般的でない。
〇 胎児機能不全がかなり進行し、既に何回も施行している状態で吸引分娩とクリステレル胎児圧出法を長時間継続したことは劣っている。
〇 新生児の初期蘇生については一般的であるが、初期蘇生後、NICUの医師が到着するまでの間の経過については記載がないため評価できない。

事例番号:240001
〇 妊娠中の管理として、妊娠25週の胎児推定体重が標準値を上回っていたが、再検査や妊娠糖尿病の検査をしなかったことは一般的ではない。
〇 分娩管理として、妊娠38週6日に陣痛様の腹緊が起こり、助産師が来院を促したこと、高位破水の判断は適確であるが、来院後に胎児心拍数陣痛図の判断や連続モニタリングをしなかったことは一般的ではない。
〇 オキシトシンの使用方法については、初期投与量および増量間隔が「子宮収縮薬による陣痛誘発・陣痛促進に際しての留意点」の推奨している使用量を上回っており、基準から逸脱している。
〇 胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。